こうやって家庭用の電源から充電できるのがポイント。
料金の安い夜間電力を使って充電すれば、さらに経済的というわけです。

 プラグイン・ハイブリッドカー(PHV)は、家庭用コンセント(交流100V)などから充電(右図)することにより、EV走行(エンジンを始動せず、モーターのみで走行)を可能にしたハイブリッドカーです。国産メーカーでは、トヨタがプリウスをベースにしたPHVで走行実験中。近い将来に発売する予定です。

 EV走行は現行プリウスでも可能です。ただし、1トンを超える物体をモーターだけで動かすには大きな電力を必要とするため、いかにスーツケース大のニッケル水素電池を搭載していようとも、時速55キロ以下で数百メートルから2km程度を走行するのがやっとでした。それだけ走行すると、電池が空になってしまうのです。これでは実用上不十分でしょう。

 実験車両ではニッケル水素電池の容量を2倍(つまり、体積も2倍)にすることなどで、EV走行の航続距離を13kmに高めています。これだけの航続距離があれば、買い物程度の使用シーンではエンジンを始動せず、EV走行でカバーできるでしょう。走行後に自宅ガレージなどで充電すれば、数時間でフル充電状態まで復帰します。

富士重工が開発するプラグインハイブリッド車、ステラです。


リチウムイオン電池の開発競争は非常に激しいです。世界中のメーカー(電池メーカーだけに限りません)がデファクト・スタンダード(世界標準)目指して鎬を削っています。これは東芝が開発したSiCBという名前のリチウムイオン電池です。

 EV走行のみで事足りてしまう場合、ガソリン代はかからず、必要なのは充電に使う電気代だけ。料金設定の低い深夜電力を使えば、さらにランニングコストを抑えることができます。また、EV走行領域を超えて走行する場合は、従来のハイブリッドカーと同じようにエンジンが始動。エンジンとモーターの動力を使い分けながら走行します。

 実際に販売されるPHVはニッケル水素電池ではなく、エネルギー密度(単位あたりの容積に蓄えられるエネルギー量)の高いリチウムイオン電池を搭載するはずです。そうなると、従来と同等のバッテリーサイズでありながら、実際の使用シーンのほとんどをカバーする航続距離を確保することが可能です。

 実験レベルではありますが、非常時にはPHVに搭載するエンジンを始動させて発電を行ない、発生した電力を家に供給する使い方も提案されています。このように、PHVは生活スタイルを一変させる可能性を秘めています。

 電気自動車(EV)は、バッテリーに蓄えた電力でモーターを駆動し、走行するEVは、航続距離の短さがハンデとなってこれまで普及に至りませんでした。ところが、鉛電池の3倍のエネルギー密度(単位あたりの容積に蓄えられるエネルギー量)を誇るリチウムイオン電池が実用段階に達したことで、一気に現実味を帯びてきました。

三菱の電気自動車iMIEVは、床下にGSユアサ製のリチウムイオン電池を搭載しています。少し下に出っぱって見えるのがバッテリーです。

 三菱自動車は09年夏にも、軽自動車の「i」をベースにしたEV「iMiEV(アイミーブ)」を発売する予定です。GSユアサ製リチウムイオン電池を床下に搭載するこのクルマの一充電あたりの走行距離は160km。充電は家庭用100V/200V電源に加え、電力会社などで開発中の急速充電器で行なうことも可能です。家庭用100V電源で充電した場合は、フル充電まで約14時間、200Vの場合は約7時間、急速充電では約30分で80%充電が完了します。

 EVは走行中にCO2を排出しないため、究極の環境対応車として脚光を浴びています。三菱自動車の試算によれば、発電時のC02排出量を含めても、同クラスのガソリン車の3割程度だと言います。また、ガソリン自動車と同じ距離を走行するために必要な電気代は、昼間電力で3分の1、夜間電力では9分の1で済みます。充電設備に関しては、都内のオフィスビルや大型ショッピングモール、コインパーキングなどで実証実験が進んでいます。

 富士重工は軽自動車ベースのEV、「スバル・プラグイン・ステラ・コンセプト」を開発。近い将来の市販化を視野に入れて実証実験中です。AESC製のリチウムイオン電池を搭載するこのクルマの一充電航続距離は80kmです。

AESC製のリチウムイオン電池の特徴は、ご覧のとおり非常に薄いこと。ラミネート型と呼ばれています。

 一方、日産自動車は専用開発のボディを持つEVを2010年度に日本と北米で発売すると発表しています。搭載するリチウムイオン電池はAESC製。販売価格を同クラスのガソリンエンジン車と同等に抑えるため、電池はリースとし、走行距離に応じたリース料を設定する方法を検討しているようです。

 EVの走行フィーリングはモーターの制御が要です。エンジンは回転数が上昇するにつれトルク(物体を回転させようとする力)が大きくなっていきますが、モーターは理論上、回転数ゼロのときに最大トルクを発生します。つまり、発進が力強いのです。あまりにも低回転時のトルクが大きいため、激しい動きにならないよう制御で抑えているほどです。また、エンジンのような振動や騒音を発生しないので、極めて静かなのが特徴です。

 発売を間近に控えた国産のEVはいずれも、モーターをガソリン自動車で言うエンジンルームに搭載していますが、車輪にモーターを内蔵するインホイールモーターを採用すれば、モーターを搭載するスペースが不要に。従来のクルマの概念を覆すデザインを生み出す可能性を秘めています。