イギリス・ロンドン編

イギリス・ロンドン編 青葉が目にまぶしいロンドンではありますが・・・

ロンドンの春。長く、退屈な冬を象徴する灰色の景色が、ある日いきなり緑の光におおわれます。公園の木々に、色鮮やかな新芽が吹き出したと思う間もなく、街頭ではコブシや山桜が白い花びらをいっせいに広げるのです。何年ロンドンに住んでも新鮮な感動を覚えます。寒いのが苦手で、冬の終わりにはいつも暖かい国へ引っ越したくなる私が「やっぱり、イギリスって好き!」と思う瞬間です。


(左)ロンドンのシンボル、ビッグ・ベン。(右上)ピカデリー広場。物価高でもショッピング熱は止まらない!(右下)ハイドパークを歩く近衛兵も、最近はお弁当持参で節約ムードとか

旅行者の数もこのころから急増しますが、この数年ロンドンを訪れる日本人のだれもが驚くのが「物価」。「ハイドパークの芝生の上でランチでもしよう」とサンドイッチを買えば、1パック(食パン2枚)が3.50〜5ポンド(約820〜1,200円)。そこそこのレストランで英国料理を食べれば、2人で150ポンド(約3.5万円)くらいかかります。そのうえにサービス料12.5%と消費税17.5%が加算されるのです。地下鉄に乗れば初乗りで3ポンド(約705円)もかかります。近距離移動の足としてロンドンっ子によく利用されているバスの場合、次の停留所まで乗っても2ポンド(約470円)もとられる というぐあいです。(ただ、バスの運賃はロンドン市街圏内ならどこまで乗っても2ポンドなので、長い距離を乗る場合はおトクかもしれません。)

日本人がロンドンの物価は高いと感じるのは当然かもしれません。


5年で2倍!?不動産バブルの真っ最中
高級住宅街プリムローズ・ヒルの「テラスドハウス」。1軒が1.5ミリオンポンド(約3億円)以上する!

そんななかでも私の友人一家は6年前に、ロンドン都心から地下鉄で20分ほどの緑の多い住宅地に家を買いました。日本でいう4LDKで庭付きという間取りで、長屋のように一軒家がくっついて建ち並ぶ、イギリス特有の「テラスドハウス」と呼ばれるスタイルの家で、購入価格は30万ポンド(約7,050万円)。もしいまこの家を売れば、なんと80万ポンド(約1 億9,000万円)と購入時の2.5倍にはね上がるというのです!年間平均1.2割というのが、ここ数年のイギリスの全国的な住宅価格の上昇率なのですが、ロンドンはそれをはるかに上回っています。

とりわけ、国内外から不動産投資へ人気が集中しました。イギリスの個人資産7兆ポンド(約1645兆円)あまりの約6割分(2004年度数値=注:次の国勢調査発表は来年なので数値このまま)は、このようにどんどん値上がりしてきた「家」なのです。昨今の、ローン金利の連続引き上げにより、不動産バブル崩壊を危惧する向きもありますが、ロンドンでは常に物件が不足しています。いきなり値崩れということはなさそうです。今や住宅ローン借入れ件数の1.2割は投資目的。借りてでも不動産に賭ける普通の人が増えています。


築40年でも「新築」!?

ちなみに、この友人の家は築110年。ビクトリア朝の優雅なスタイルの家です。乾いた寒冷な気候に加え地震もない土地では、レンガ造りの家はなかなか壊れません。また、イギリス人は古い家が大好きなので、家の内装はいまの生活にあわせて変えても、外観はそのままにする場合が多いのです。建物が古くなっても価値が落ちないからこそ、イギリス人は貯蓄よりも家を所有することにこだわるのです。私の住んでいるマンションは築40年ですが、訪れた人からは「新しいですねぇ」とよく言われます。なんだか不思議な気持ちになります。

不思議といえば、この国では自分の家の面積を知っている人はほとんどいません。イギリス人にとって大事なのは土地ではなく「建物」。とくに「寝室がいくつあるか」は最も重要なことなのです。もっとも、国土面積は日本と同じくらいでも人口は約半分、しかも、山が少なく居住可能な平地があり余っているので、「土地」にこだわる必要があまりないからかもしれませんね。

※上記の記事は、とくに記述がない限り、2007年11月14日現在のデータをもとに作成したものです。
(為替レートは1ポンド=235円で計算しました。)

プロフィール
冨久岡ナヲ(ふくおか・なを)
10年あまり前にロンドンに移住して以来、執筆を始める。日本の雑誌各種にイギリスや欧州からのトレンド、ライフスタイル、ビジネス情報などを書いているほか、英語圏向けにはフードライターとして日本料理の本を多数出版。英国フードライターズ・ギルドのメンバーでもある。

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