海の向こうはこんな暮らし

6月に結婚する花嫁は「ジューン・ブライド」と呼ばれ、生涯幸せな結婚生活を送ることができるといわれていますが、この言い伝えはギリシャ神話に登場する最高位の女神、ヘラ(ローマ神話のJuno)に由来しているのをご存知ですか?婚姻を司るヘラが守り神になっている6月に結婚すると、ヘラの加護で幸せになれるというものです。
アメリカでもジューン・ブライドに憧れる女性は多いのですが、それはたんにヘラのご加護にあやかりたいだけではありません。暑過ぎず、寒過ぎず、美しく晴れる日が多い6月は、気候的にも結婚式を挙げるのにピッタリ!ガーデン・ウエディングの計画も立てやすい!ということで6月を希望する人が多いのです。

船を貸し切ってクルージングしながら行う船上ウエディングなど、結婚式のスタイルはさまざま。
さて、結婚式といえば、招待された方はお祝いを持っていくのがお約束。日本ではご祝儀として現金を渡しますが、さまざまな人種や文化が集うアメリカでも現金を渡す習慣はごく一部。一般的には、結婚生活に必要な生活用品をプレゼントするのがならわしとなっています。
プレゼントは、バスセットや包丁セット、エスプレッソ・マシーン、インテリア用品、日本人のカップルだったら卓上コンロ&鍋のセットなど、いろいろなアイデアがありますが、最近は「ブライダル・レジストリ・システム」を利用するカップルも増えています。

ブライダル・レジストリができるショップが一同に集まったウェブサイト
ブライダル・レジストリとは、新郎新婦が自分たちの欲しいものを特定のデパートや専門店で選び、事前にレジストリ(登録)しておくというもの。プレゼントを贈る人は、そのリストの中から自分の予算にあったものを選び、プレゼントするというしくみです。
リストにあるものは、すなわち新郎新婦が欲しいもの。当人たちにとっては欲しいものがもらえ、贈るほうも「何をプレゼントしたらいいんだろう」などと悩まずに済むので一石二鳥。なんともアメリカらしい合理的なシステムだと思いませんか?
新郎新婦がどこのお店でレジストリしたかは、結婚式の招待状などにさりげなく明記してあったり、なければ口頭で聞いたりします。そして、お店では新郎新婦の名前と式の日を伝えるだけで価格付きの商品リストを見ることができます。また、誰かがすでに購入したものには印がついているので、ダブって同じものをあげる心配もありません。
リストの回覧からプレゼントの発送まで、いまではインターネット上で簡単にでき、またリストを回覧するのに結婚式の招待客である必要もないので、近々結婚する有名人がどんなものをレジストリしたかを興味本位で調べることもできるのです。

写真の花嫁もジューン・ブライド。牧師さんも乗船して、ただいま挙式の真っ最中
プレゼントやご祝儀にいくら使ったらいいのかは古今東西、頭の悩ませどころ。新郎新婦との関係(ビジネス、友人、親戚など)や親しさの度合いによっても異なるので、ひとことで言うのは難しいものですが、超カジュアルでもなく、超高級でもない平均的なウエディングの場合、友人関係で30ドル(約3,300円)くらいが相場です。
一方、高級レストランや豪華な船などが会場になっている場合は、それに10〜30ドル(約1,100〜3,300円)プラスという感じ。会場と雰囲気を考慮して、そういう場所へ食事に出かけたときの出費と(少なくても)同じくらいの費用がめやすといわれています。
いずれにしても「友人関係で2万〜3万円」という日本よりは格段に安いと思いませんか?これなら「友達の結婚式が重なって今月は結婚式貧乏なの」ということもありません。
最後に、結婚式自体にかかるお金についても触れておきましょう。挙式と披露宴にかかる費用は花嫁側の両親が、リハーサル・ディナー(親族や関係者、牧師さんなどと式のリハーサルをした後に行う食事会)の費用は花婿さん側の両親が負担するというのが古くからのならわしです。
なにかと合理的で革新的なアメリカ。最近はすべての費用を本人たちが出す、それも新郎新婦で割り勘、というカップルも増えていますが、こと結婚式に関しては古くからのしきたりにならう人が多いようです。
※上記の記事は、とくに記述がない限り、2007 年11月20 日現在のデータをもとに作成したものです。
(為替レートは1US ドル=約110 円で計算しました。)
フリーランス・ライター。33歳のときに「人生のブレイク」と称してアメリカ留学を決行。勢い余って住みつき、現在はワシントン州シアトル在住。主な著作に『極楽西海岸の暮らし方 アメリカ・カナダ編』(山と渓谷社)、『派遣の花道』(WAVE出版)などがある。