「世界銀行債」のこれからの貸出予定
世銀は唯一国連メンバーの中で自活している金融機関

藤沢 これからの貸出予定はどのようになっているのですか?
有馬 貸出予定は山のようにありますよ。インドだけでも何百件もプロジェクトがありますので…。今注力しているのは鳥インフルエンザ関連です。鳥インフルエンザには具体的な特効薬がなく、鳥を処分するしか方法がありませんので、保健所などの充実をさせなくてはなりません。まず鳥インフルエンザが出たことをすみやかには把握できる施設が必要です。2つ目は鳥を処分できる施設ですね。そういった分野に資金を貸出すことが考えられます。
藤沢 アジアには、ほかにどんな案件が挙げられますか?
有馬 農業と環境などの案件が注目されていますが、その年ごとに需要が異なるので、一概にはいえません。日本のようにインフラに貸出した後、メンテナンスを自分でできるのであれば貸出は必要ないわけですが、そのような国ばかりではありませんから。今後はインフラ向けの貸出が増えていくと思います。昔はなかったのですが空港を作るという案件もありますね。
藤沢 貸出後はどのようなことに注意を払っているのですか?

有馬 モニタリングが重要になります。現場に踏み込んでウォッチしているスタッフもいます。途上国が自らの力で持続可能な成長を促すことが重要で、貸出をしただけではダメなのです。何をしたら生活が改善されるのかを現地の人と一緒に考え、その情報をベースに予算をとる貸出も増えています。私自身もベトナムへ視察に行ったことがあり、村の奥地へ行きました。小学校(教育)と水路の建設という案件でした。村の人と話し合ったところ、水害を引き止めたいということでしたが、現地の人々の意見を取り入れた効果的な案件だったと思います。
藤沢 世銀の貸出は、小出しで貸出していくというスタイルなのでしょうか?
有馬 そうですね。そのような工夫はしています。

藤沢 借りると、同時に借金を返済していくのですか?
有馬 世銀の場合、貸出は基本的に案件ごとに完結することになりますが、返済スケジュールは案件ごとに異なります。その点は一般の銀行と似ていますよね。世銀は唯一国連メンバーの中で自ら資本市場で資金調達をしている機関です。世銀債を発行して、投資家の皆さまから資金をお借りして、貸出を行い、収益を確保して従業員の給料や諸経費をまかなっています。皆さまの大事なお金をお預かりし、運営しているわけですから、責任は重大。常に細心の注意を払って、各々の案件と向かい合っています。
「世界銀行債」のこれからの貸出予定

世界銀行債のこれからの貸出についても着々と進められているようです。現状の世界情勢から考えられる、今後起こり得る貸出先をいくつか考えてみましょう。
鳥インフルエンザに注目
いま世界銀行が注目している案件は、アジア地域の鳥インフルエンザです。いまのところ、鳥インフルエンザの特効薬は開発されていないため、万が一、養鶏施設などで鳥インフルエンザが発症した場合には鳥を処分する方法しかありません。処分をするとなると適正な措置を行う必要がありますので、経済的な損失のほかに処分するための費用も必要となります。養鶏施設などが被る損害は計り知れないものになるでしょう。そこで鳥を処分できる施設の整備を進める必要があります。また、保健所などの医療施設を設置して、鳥インフルエンザが発症したことを速やかに把握し、近隣住民に伝達できるようにしなくてはなりません。
既存建物などのインフラ整備
今後は既存の建物などのインフラを整備するための貸出が増えていくことが予想されています。特に、以前貸出を受けて建築した建物や施設の中には寿命がきたものや老朽化が進んでいるものも少なくはありませんし、場合によっては時代にあわせたものに作り変えなくてはならないものもあることでしょう。
また、中産国であれば空港を作ったり、高速道路を作るといった、交通機関の整備を行うためのプロジェクトの貸出も増えてくることが予想されます。
教育と医療は貧困からの自立は欠かせない
新興国(発展途上国)であれば、引き続きその国や地域の子供たちが平等に教育を受けられるようにするプロジェクトに貸出が行われるでしょう。保健・衛生上に問題のある地域などでは思わぬ病気を引き起こす可能性があるため、医療のプロジェクトも必要になりますし、貧困な地域であれば自立するための手助けを行うためのプロジェクトも今後は行われていくでしょう。